産後クライシスを乗り越える!夫婦の危機を回避するためにはどうすればいい?
子供を授かるということは素晴らしいことであり、夫婦が望んでいることでもあります。
しかし、出産がきっかけとなり、離婚をする夫婦が多いということをご存知でしょうか。
出産後、夫婦の仲が悪くなることを「産後クライシス」と言います。「出産に伴う一時的なものでしょ?」などと軽く考えていると、取り返しのつかないことになりかねません。
この記事では「産後クライシス」の原因とその対処法について詳しく解説していきます。現在、産後クライシスについて悩んでいる方、出産を控えている方、子供が欲しいと思っている方、すべての人が知るべきことをお教えします。
目次
産後クライシスはなぜ起こるのか?その原因を解説!
産後クライシス(危機的な状況)は、出産をきっかけに夫婦の仲が悪くなる状態をさします。
子供が生まれるというのは、夫婦にとってとても喜ばしいこと。にもかかわらず、夫婦の仲が悪くなるなど、信じられないという方もいるでしょう。
でも、出産を経験された方の多くが、夫婦の関係がうまくいかないと感じることが増えたと言うのです。
何を隠そう私もこの産後クライシスの経験者です。
そもそも、なぜ産後クライシスというものが起こるのでしょうか。その原因を見ていきましょう。
原因1:妊娠・出産によるホルモンの変化
妊娠すると、赤ちゃんを育てるためのホルモンが大量に分泌されるため、妊娠前と比べるとホルモンバランスが大きく変化します。
妊娠の時に増えたホルモンは、出産後不要になるのでいっきに消えてしまいます。
もちろん、ホルモンバランスそのものは、産後クライシスの直接的な原因にはなるわけではありません。
しかし、ホルモンバランスが大きく崩れることで、イライラしたり、感情的になることが多くなるため、結果として夫婦の関係性が悪くなってしまうというわけです。
もちろん、妊娠・出産を経ても特に変わらない女性もいます。でも、ほとんどの女性が何かしらの不調を感じるのです。
こうしたホルモンバランスの変化は、男性はもちろん、女性でも自覚できていないケースが非常に多いと言えるでしょう。
原因2:子育ての過酷さ
無事に出産が終われば、次に待っているのは「育児」です。愛する赤ちゃんの世話など、まったく苦にならないと意気込む新米お母さんも多いでしょう。
でも、赤ちゃんのお世話は想像以上に大変です。
当たり前ですが、赤ちゃんは言葉も話せないため、ひたすら泣いて意思表示をします。それは、早朝でも夜中でも関係ありません。時には、夜通し泣き続けることだってあるでしょう。
赤ちゃんはこちらの都合などおかまいなしです。そのため、生活のすべてが「赤ちゃん優先」になっていきます。
また、ミルクやおむつ交換、四六時中の抱っこやおんぶなど、慣れない作業の連続で、1人の時間も取れず、精神的にも体力的にも疲れ果てるお母さんが少なくないのです。
こうした状況の中で「しっかりと子供を育てていけるのか」といって漠然とした不安を抱くようになり、その不安や苛立ちが原因で夫婦喧嘩が起こりやすくなるのです。
男性が子育てに非協力的であればなおさらです。
子育てに関する相談で意外に多いのが「なんで私だけが育児しなきゃならないの!?」というものです。いくら女性の社会進出が進んでも、妊娠・出産をできるのは「女性」だけです。そのため、育児に関するほとんどは女性が背負いがちです。残念ながら、こうした状況はこれからも大きく変わることはないと私は思っています。
原因3:夫と妻の間にギャップが生まれるため
子供が産まれるということは、家族が1人増えるということです。すると、必然的に「夫婦」から「子供のいる家族」になります。
これまで夫婦2人では、「恋人の延長のような関係」でいられたかもしれません。でも、子供が産まれることで、「親になるという自覚」が芽生えるだけでなく、他人からも「親・家族」として見られることになります。
女性は妊娠・出産の過程を経ることで、徐々に母親としての自覚が持てますが、男性は子育てをしながら「徐々に父親になっていく」ため、このギャップに苦しむ夫婦は多いのです。
特に、母親である女性から見れば、男性は父親としての自覚が足らないと思えるでしょう。
その一方で男性からすると、これまで愛していた女性が急に「母親」となり、すべてを子供優先の行動をとり、自分が見向きもされなくなることが受け入れられないのです。
こうした現象は、仲良し夫婦であればあるほど起こりやすくなります。コミュニケーション不足やセックスレスが一気に加速する原因にもなります。
産後クライシスを乗り越えるために
「産後クライシス」に悩み、カウンセリングに訪れる人はとても多いのが現状です(特に女性)。
出産したばかりで「産後クライシス」になりそうという人もいれば、もう10年くらい「産後クライシス」が続いているなど、相談の内容も様々です。
ただ、内容は異なるものの、相談者の多くが夫に対し同じような発言をしています。それは、
「もっと父親としての自覚を持ってよ!」「もう少し父親らしくしてよ!」
というものです。
こうした発言は絶対にすべきではありません。記事中にも書いた通り、意識の違いは仕方のない部分があります。
それを女性が責めたりすべきでないし、また男性も「俺はダメなんだ」と自分を責める必要もありません。
では、産後クライシスを乗り越えるためには、どうすればいいのでしょうか。妻の立場、夫の立場でするべきことを解説します。
妻がするべきこと
女性の場合、ホルモンバランスが崩れてしまうため、意思とは無関係にイライラしたり、感情的になることが多くなります。これは仕方のないことです。
あなたがイライラしてしまうのは、赤ちゃんのせいでも、夫のせいでもないということは理解しておいてください。
できるのであれば、「ホルモンのせいだ」くらいに割り切るのが一番です。ただ、誰しもがそうできるわけではありません。
そんな方は、以下の3つを意識してやってみてください。
①1人の時間を作る
かわいいわが子であっても、常に一緒にいると気が滅入ることがあります。人間であるから当然です。
出産直後は難しくても、子供が大きくなれば、少しの間なら他の人が見ても平気になっていきます。
できるのであれば、夫や両親(義両親)に任せ、1人の時間を作るようにしましょう。たとえ数時間であっても、リフレッシュすることができます。
②誰かに相談・愚痴を聞いてもらう
育児や夫婦関係は悩みがつきもの。1人で抱え込んでも、良いことなどありません。
そんな時は、誰かに相談してみましょう。同じ子育てをしている友達に相談するなどすれば、良い解決案が見つかるかもしれません。たとえ、具体的な解決策がなくても、愚痴るだけで気持ちがスッキリするものです。
また、自分のお母さんに相談するのも良いでしょう。あなたのお母さんは子育ての大先輩です。きっとあなたと同じ悩みを経験しているはずです。
③「1人ではできない」と諦める
産後クライシスに陥る夫婦の多くが、女性が「頑張りすぎてしまう」ケースが少なくありません。
「お母さんになったからしっかりしなきゃ」「家事も育児も完璧にこなそう」などなど、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。
家事・育児に完璧などありません。頑張りすぎず、夫を含めた周りの人に甘えるというのはとても大切です。
特に、夫と一緒に家事・育児をしていくというのは、産後クライシスを乗り越えるためには欠かせない作業です。
夫が育児に非協力的というのは、本当に多くの女性が抱える悩みです。一般論として、男性は女性と比べると「鈍感」だと思います。男性は、子供や女性の些細な変化に気づかないことが多々あります。ただ、それは「気づけない」だけです。わからなければ、わかるように伝えることが大切です。そして、夫が協力してくれた時は、しっかりと感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。こうした小さな積み重ねが夫婦円満の秘訣でもあるのです。
夫がするべきこと
まず「産後はホルモンのバランスが崩れる」ということを知っておいてください。
出産後、妻の変貌に戸惑う男性は非常に多いのです。しかしこれはホルモンのせいだと理解していれば、受け入れることができますよね。妻の体調を気遣う余裕が出てくるでしょう。
そして何より「積極的に育児・家事に参加する」ことが一番大切です。
ただ、仕事で疲れて帰って来て、育児・家事をやるのは本当に大変なことです。そのため、できる範囲でいいので、まずはやってみてください。
その繰り返しの中で、少しずつ改善していけばいいのです。やらないことには、大変さも何もわかりません。
自分の妻がイライラしているのが嫌で、残業や飲み会が増えるという話もよく聞きます。これは絶対にやめてください。どんなに大変であっても、自宅で一緒に過ごす時間を増やすべきです。
実は、女性は「育児で大変だった時のこと」をずっと覚えているものです。
私自身、最初の夫がまったく育児をしてくれなかったこと、今でも根に持っています(本当です)。
帰宅放棄は一瞬気持ちが楽になりますが、長い目で見た時にマイナスにしかなりません。
何よりも、子育てを女性だけに任せるというのは、おかしなことです。最初のうちは、できなくて当然という気持ちで大丈夫。少しずつ時間をかけて父親になっていけばいいのです。
産後クライシスは悪いこと?
これまで、産後クライシスを乗り越えるための方法を解説してきましたが、私は産後クライシスが悪いものだと思っていません。むしろ、あってしかるべきだとすら思っています。
出産、つまり生命の誕生というものは、夫婦にとって一大イベントです。そうである以上、これまでと「同じであり続ける」という方が無理だと思いませんか?
産後クライシスに限らず、家族として生活を続けて行く中で様々な危機を経験するでしょう。
大きな病気や怪我、子どもの反抗期、リストラや転職などなど、細かいものをあげればキリがありません。
もし産後クライシスを乗り越えることができれば、どんな危機に直面しても、その夫婦は大丈夫だと思います。
なぜなら「危機の乗り越え方」を知っているからです。たとえすぐに解決できないとしても、家族で協力しながら困難に立ち向かっていけるはずです。
今現在、産後クライシスに悩んでいる方は、悪い方向に捉えるのではなく、「夫婦が成長するチャンス」というポジティブな気持ちでいきましょう。
どうしてもくじけそうなときには、友達や家族に愚痴をこぼすのもいいでしょう。どうしてもそれができないという人には、夫婦カウンセラーに相談してください。
産後クライシスは決して恥ずかしいことではなく、どの夫婦も多かれ少なかれ経験しています。乗り越えたあかつきには、きっとさらなる幸せが待っていると信じましょう。